第一章 見つけた夢

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 「こんにちは、竹本(たけもと)愛香です。  このサークル、先輩後輩ってないから、気軽にしてね」  もう一人の美人学生が優しい口調で話しかけてきたので、大翔と、もう一人-文学部の新入生の山下孝則(たかのり)が赤くなった。  「あ、赤くなってる。  でも、駄目だよ。愛香には婚約者がいるんだから」  聞いた大翔と横に座っている孝則は驚いた。  愛香という女性は四年生。まだ学生なのに婚約……驚く二人に愛香は苦笑した。  「もう、玲奈(れいな)、冗談言わないの。  婚約者はいないから。付き合ってる人がいて、今年社会人なの。  その人、ここのOBで、夏休みの特別活動の時は参加したいって言ってるから、その時、会ってね」  言う彼女は、とても幸せそうで、その人のことがすごく好きだというのが分かった。  大翔は真剣に誰かを好きになったことがなかったから、ちょっと羨ましくも見えた。  でも、サークルの空気はのんびりしていて、大翔はここに入って良かったと思った。
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