第九章 MVブランド発売

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 ***  大翔は、初詣が終わるとすぐに東京へ戻ることにした。一美があれだけ怒ったので、両親と交際の件を話すのが難しくなったからだ。  姪にあれだけ言われたら、父親は、さらに反対する気持ちになったかもしれない。  そうなると、冷静になるのを待つしかないから、実家に居続けても意味がない。  和香に、適当になったら帰ると伝えると、マンションで待っていてほしいと返された。彼女も、あまり長く実家にはいないようだけど。  バッグを持って玄関に向かう大翔に、一美が声を掛けてきた。  「あら、大翔帰るの?」  「うん。一美や子供に会えたからね。それに、旦那さんとはまた会えるんだし」  言われた、一美の夫が目を細めて軽く手を振ってきた。了承の意味らしい。大翔も頷いた。  「それもそうね。日にち決まったら連絡するわ。  彼女さんによろしくね」  「分かった。一美は無理しないでね」
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