第九章 MVブランド発売

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 「私、会社紹介する番組好きでさ、よく見るんだ。結構、業態転換したところ紹介されててさ。  それなら、うちも同じだと思ったから、広告代理店通じてテレビ局にコンタクト取ったの。  部長が、向こうの局員と折衝(せっしょう)してる。いい感触ってことだから、会議に提案しても大丈夫だろうってね」  まさか、目の前の女性のアイディアとは思わなかった。  でも、それなら詳しく紹介されるから、雑誌やポスター以上にインパクトがありそうだ。  感心する大翔に、彼女は思いもしないことを言ってきた。  「結構、現場(うつ)すから、大翔も出るかもよ。デザイナーなんだから」  「ええ~ちょっと嫌かな。俺、緊張して変な動きになりそうだし」  普通の人間は、あまりテレビ出演はしない。大翔も同じだ。  「大丈夫だって。主役は大翔じゃないんだから」  それはそうだけど、朱夏(あやか)は自分が出ないから気楽だと思った大翔は、少し意地悪に言い返した。  「テレビ決まったら、朱夏も出たら?こうやって宣伝してますって内容なら、出れるよね」  今まで平然と話していた朱夏が固まって、大翔や他の三人が苦笑した。
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