第九章 MVブランド発売

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 ***  「大翔、テレビ(うつ)り良かったわね。花野たちも感心してたわ」  「……」  確実に、酒の席の笑い話になっている……それくらいは分かる。  和香は、花野が結婚した後も変わらないペースで会っているようだった。時々、妻を迎えに来る義隆が加わるそうだけど、和香はあまり彼とは話さないらしい。  友人を傷つけた男性とは、二人が復縁した後も、あまり親しくなれていないようだ。  「部長が言ってたけど、取引先での評判もいいそうよ。それに、ポスター、かなり好評ですって」  「あのポスターは、俺もいいと思いましたね」  新ブランドの発売は来年の春だけど、桜が咲く前になるので、入学・就職の準備に合わせた形だ。  既に見本品は直営店舗に飾られているし、取引先へのサンプルの配布も始まった。  駅やビルにはポスターを掲示(けいじ)していた。  泡のようなハートの中に発売予定の商品のシルエット。そして、一つだけ、ロゴが描かれている。
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