第九章 MVブランド発売

30/35

645人が本棚に入れています
本棚に追加
/322ページ
 そして、あまり大きくないフォントで書かれているキャッチコピーが、文房具らしくないけど、新ブランドに似合うと大翔も思った。  〝(あふ)れるほどの中から、あなただけのために……〟  「新発売が楽しみですね」  「ええ、待ち遠しいわね。  でも、大翔は学生の時、電気メーカー希望だったでしょう?文房具のデザインで本当に満足してる?」  和香には、デザイナーを目指した理由と、就職活動で電機メーカーが全滅で、中村(なかむら)事務総合商事に入ったと話している。  「今は満足してます。ブランド創設メンバーは、簡単にはなれないですからね。  ただ……デザインしたい商品はあります。今はラインアップに入ってないので、夢なんですけど」  「なんの商品?」  いろいろ話しているけど、入社してからの夢はまだ話したことがなかった。  「万年筆です。  そうはいっても超高級品でなくて、MVに入れても大丈夫なくらいの価格帯の商品がいいなって。  国産の物も悪くないんですけど、やっぱりヨーロッパのメーカーのデザインがいいんですよね。憧れますね」
/322ページ

最初のコメントを投稿しよう!

645人が本棚に入れています
本棚に追加