第九章 MVブランド発売

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 聞いた和香は少し驚いている。確かに、文房具といって、すぐに浮かぶ物ではない。  「万年筆……ちょっと意外ね」  確かに大翔のイメージだと、万年筆は浮かばない。苦笑が出る。  「そうですね。  大学の時、入ってたサークルで、万年筆使う先輩がいたんです。例のトラブルの被害者です。  彼女が万年筆を愛用してたんです。書くところを見ると、滑らかって感じだったんですよ。紙に引っかからないっていうか。  イタリアのブランドでしたね」  聞いて納得したらしい和香は、何度か頷いた。  「そうね……万年筆ならMVブランドを代表できるかも。今は難しいでしょうけど、将来的にはありね。ブランドイメージを上げそうだものね」  和香が賛成と分かると、大翔は嬉しくなった。  「デザインするなら、和香さんが使うところを考えながら描きますね。女性が持って似合うデザインを目指したいですね」  「素敵ね。もし販売されることがあったら、第一号の購入者になりたいわ」  笑顔の和香に、大翔は笑みを浮かべながらそっとキスをした。
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