第九章 MVブランド発売

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 ***  両親から、和香との交際に関して賛成をもらえないうちに新年が明けて、すぐに新ブランドの発売日が来た。  三月に入ってすぐに発売したので、かなり目立った。  他のメーカーも新入学のセールを始めているけど、新ブランドということで、複数の販売店でかなりの面積を取ることができた。大翔も見に行ったけど、目立っていて嬉しかった。  発売一か月後に売上の暫定(ざんてい)値が出た。  この会社は三月が決算なので、一か月分の販売額が加わる。経理部としても早く数字が知りたかったらしい。  「営業部から連絡が来ました。  一か月の売上は、予想の一割増しでした」  デザイン課の課長の言葉に、フロアに歓声が起こった。大翔も思わず喜びの声が出ていた。  「それで、好調のうちに第二弾のプロモーションを掛けたいということで、皆さんにはこれまで以上に頑張ってほしいです」  大変だけど好調なのは嬉しい。大翔は、少しずつ手帳のデザインを進めていたけど、本格的に描いていこうと思った。  「手帳の他に、ボールペンとシャープペンのセットを発売すると決まりました。チーフには、セット品のデザインに専念してもらいたいです。  他には、ペンケースですね。ペンセットを入れる商品と想定しているわけではないですけど、皆さんが考えるよりも高価格帯になります」
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