第九章 MVブランド発売

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 ***  「恋人が仕事で寂しいって気持ち、初めて分かったわ……」  和香から思いもしない言葉が出て、大翔は驚いた。  でも、大翔も寂しいのは同じだから、申し訳ない気持ちにもなる。  「すいません……俺も、和香さんと、もっといたいんですけどね」  「ううん、分かってるの。MVブランドが大事な時期だって。だから、大翔たちが忙しいのは仕方ないって。  もちろん、こんなに順調なのは嬉しいわ。企画も上手くいっているし。  でも……大翔との時間が減ることが、こんなに寂しいなんて思わなかった。  義隆さん、こんな気持ちだったのね。  ずっと呆れてたの。恋人が頑張ってるのに寂しいなんて、何、言ってるのかしらって。  本当、当事者にならないと分からないわね。応援してても寂しい気持ち」  花野が忙しいから、会う時間が減って寂しいと、他の女性と過ちを犯してしまった義隆。  和香は、二人が結婚しても、義隆を批判的に見ていた。でも、大翔と交際するようになって、恋人を応援しているのに、寂しいという感情が湧くと知ったのだろう。  大翔は和香を抱き締めた。
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