647人が本棚に入れています
本棚に追加
/322ページ
あの、部長が転勤と思うと、感慨がある。
大翔が和香と交際できたのは、ある意味、企画部部長が、製造部から、大翔を強奪したから。感謝の気持ちはある。転勤先では上手くいってほしいと思った。
「そうですか。
新ブランドの販売見届けたわけですから、良かったんじゃないですか。
ところで、この色、和香さんに合いますね。カラーリングは俺の意見です。
シルバーだと高級感が出ますし、使って飽きが来ませんから。
……実はちょっと公私混同したんですよね。この色、和香さんに合いそうだなって……」
自分のイメージでカラーを決定したと知った和香が、かなり驚いている。でも、シルバーは好きなようで嬉しかった。
「将来、万年筆を売る時に、このセットに合わせられたらなって思ってるんです。
その時、使いたい色の一つでもあるんですよね。
何年経っても飽きのこないデザインとカラー。さすがに一万年とはいきませんけど、百年愛されたらいいなって」
聞いた和香が感動したように大翔に言ってきた。
「すごくスケールが大きいのね」
「ええ、気宇壮大ですから」
言うと大翔は笑った。
最初のコメントを投稿しよう!