第十章 後悔しない決断

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 あの、部長が転勤と思うと、感慨がある。  大翔が和香と交際できたのは、ある意味、企画部部長が、製造部から、大翔を強奪したから。感謝の気持ちはある。転勤先では上手くいってほしいと思った。  「そうですか。  新ブランドの販売見届けたわけですから、良かったんじゃないですか。  ところで、この色、和香さんに合いますね。カラーリングは俺の意見です。  シルバーだと高級感が出ますし、使って飽きが来ませんから。  ……実はちょっと公私混同したんですよね。この色、和香さんに合いそうだなって……」  自分のイメージでカラーを決定したと知った和香が、かなり驚いている。でも、シルバーは好きなようで嬉しかった。  「将来、万年筆を売る時に、このセットに合わせられたらなって思ってるんです。  その時、使いたい色の一つでもあるんですよね。  何年()っても飽きのこないデザインとカラー。さすがに一万年とはいきませんけど、百年愛されたらいいなって」  聞いた和香が感動したように大翔に言ってきた。  「すごくスケールが大きいのね」  「ええ、気宇(きう)壮大(そうだい)ですから」  言うと大翔は笑った。
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