第十章 後悔しない決断

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 「え、そうなの?」  「ああ。今回も上層部、相当(あわ)ててるらしいぞ。  新堂課長、担当した新入社員の研修、高評価だっただろ。来年は微妙らしいんだ。研修の辺りで産休入るそうだから」  研修ができるかは気になるけど、上層部が騒ぐ意味が分からない。  結婚したら、あっても不思議ではないのに、現実になるまで予想していなかったようだ。  花野(かの)が妊娠したのだ。  ただ、幹部夫妻なので、妊娠が会社に影響を与えるのは避けられない。花野は、ぎりぎりまで出勤すると、間もなく分かった。  八か月くらいに研修が始まる。その頃まで勤務をしてから産休に入ると聞いた。  でも……消えた生命(いのち)、生まれてくる生命。  人生は何があるか分からない。大翔は後悔しないようにしたいと願った。
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