第十章 後悔しない決断

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 ***  「ちょっといい?」  年末に帰省した大翔が両親に声を掛けたのは、親戚が来る前日だった。  和香との交際を反対されてから、三人で話をしたことがない。来年が一つの節目と考えている大翔は、その前に両親ときちんと話をしたかった。  「いいけど何?  白井さんとのことなら、少し時間が欲しいって言ったでしょう?」  「分かってる。  でも、三人だけで話したことないよね。それと、ちょっと違うんだ、俺が言いたいのは」  今日話したいのは、和香との交際を認めてほしいということではない。  聞いた二人が意外そうだったけど、ソファに座り直したから、話ができそうだと大翔は思った。  「もし、俺が和香と別れて違う人と結婚したとするよね。  その人と上手くいくって保証できる?」  ()かれた二人が言葉につまった。さすがに、大丈夫とは断言できないようだ。  「できないよね。しかも、その人と結婚するってことは、和香と無理に別れさせるってことだから。  俺が未練残して結婚する程度は分かるよね」
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