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「大翔、テニス部入るのか?」
入学式で隣り合った、同じ中学出身の男子に訊かれた大翔は少し考えた。
今は入学式。壇上ではエラい人が挨拶している。
でも、とにかく話が長い。
しかも、三人目なのに、ほとんど同じ内容。最初は緊張して聞いていたけど、段々飽きてくるのは仕方ない。
実際、他の生徒も同じようで、微かに会話の声が聞こえてきた。
大翔と友人も小声での会話だ。さすがに、いつもと同じ音量なら、体育館からつまみだされる。
眠さも誘いそうな声をBGMに、大翔は訊かれたことを考え続けた。答える前に拍手が起こったから、適当に合わせる。
みんなが拍手をしているなら大丈夫という、やっぱり適当な考えだった……
終わったかと期待した大翔の願いむなしく、さらに壇上に誰かが現れた。
でも、意外だった。ものすごく若い男性だ。大翔たちと親の中間くらいの年齢に見える。
「誰だろ」
不思議そうに言う大翔に、横の友人も首を傾げた。
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