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入学した時はそれほど上位でなかった大翔だけど、予備校に行き始めて真剣に勉強をすると、少しずつ成績が伸びてきた。
あの後知ったけど、挨拶した先輩の出身は、大翔が目指す大学。余計に頑張ろうという気持ちになる。
「三谷、志望校は変わってないのか?」
一年生だけど進学校だから、担任は、生徒がどこの大学や専門学校を希望なのかは知っている。授業も進学のためのカリキュラムだ。
「はい。変わってないです」
まだまだ希望する大学の学部に入るには偏差値が足りない。実際、予備校でも決していい判定は出ていない。
それでも大翔は、その学部以外はまったく考えていなかった。
「そうか…厳しいが、今の伸びを続けたら可能性はあるぞ」
「え、本当ですか」
初めての進路相談の時、専門学校を勧められて拒否した。
担任は少し困ったように相談を終わらせたけど、あれから半年、大翔の努力は確かに形になり始めていたと、すごく嬉しかった。
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