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覚えてる?
「綺麗だね。」
「うん、とっても綺麗。」
たった二言だった。
でもそれだけで私たちには十分だった。
「ねぇ、覚えてる?」
「何を?」
「最初にあった日の事。」
「んー覚えてないって言ったらどーしする?」
「泣こうかな。」
「それは困るなぁ。覚えてるよ。」
「特になんの代わり映えもない日だった。」
「そうだね、普通の日常だったね。」
「いつものように夕日を眺めていた。」
「私は夕陽を眺めてた。」
お互い似てるようで違うものを眺めていた。
近くにいるようで遠い存在だった。
だからこそ、気になった。
「あの日もしも、君が声を掛けくれなかったら、私たちはどうしてたかな。」
「んー関わることの無い通行人Aぐらいとして意識に残ったくらいじゃないかな。」
「確かにそうだね。」
「あの日、ここにいてよかった。声をかけてよかった。」
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