ちっちゃな物語

あぁ、かみよ！(ホラー？)

お題は「砂漠」「化石」「家の中のトイレ」
ジャンルは「ホラー」

　俺は今、砂漠の中で、たった一つの化石を探せと言われたような気分だ。
　数時間後には、待望の子供が生まれる。しかも、双子だ！　俺たちが子供が授かったのは、世間で言うには高齢出産にあたる年齢だった。高校で同じクラスになってから、気になりだし、俺から告白し付き合いはじめた。何度かの喧嘩別れと和解を繰り返し、二十八歳で結婚した。けど、子供にはなかなか恵まれずに十一年経った今日、とうとうこの日を迎えた。双子ということと、年齢のここともあり、予定出産というやつだ。あいつは昨日から入院し、帝王切開の準備を整えている。
　俺は昨日の俺を呪っている。
　親になるという緊張と、久々の一人の家、変な責任感が湧いていた。帰ってきてもしばらくは動けないあいつのために、飯を作る練習でもするかとスーパーで食材を買い込んできた。あろうことか、前祝いだと好物の牡蠣も奮発した。酒も、いつもの発泡酒からビールに格上げだ。それが仇となったのだ。
　あと、一時間であいつは手術室に入る。なのに俺は痛む腹を抱え、家の中のトイレにいる。そして、買い置きのトイレットペーパーも切れていることに、今気がついたのだ。