268人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ
「ん?」
ふと視線を感じてメモから顔を見上げれば、速水さんがじっとこっちを見ていた。
何か気に障ってしまったのだろうか?
「えっと?」
「何でもない。それじゃああとは明日。」
そう言って私の反応を見ずにエレベーターに乗ってしまった。
これは多分、一緒に乗らないほうがいい。
速水さんは秘書と一緒にいることは一切ないから絶対噂になるし。
この会社、噂とか社員についての情報が異様に早いんだよね。
誰が一緒にいたとか。
誰がミスをしたのか。
誰が誰を狙ってるとか。
「はぁ、くだらない。仕事しよ。」
そう。
くだらない。
そんなことを噂する暇があれば仕事をすればいいのにと思う。
噂はただの噂でしかないのだから。
たとえ一目見たとしても…その後は尾ひれしかつかないのだから。
だけど………。
私は、ちょっと甘く見ていたのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!