1.専属秘書

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エレベーターで秘書課のフロアまで戻れぱ…。 「………?」 ものすごい視線を感じる。 いやもうこれは感じるとかじゃないかも。 全員が……一斉に私を見たのだ。 え、何。 なんかミスでもした…? でもたかがミスだけでここまで注目はされない。 これはまさか……いや、そんなはずは…。 「市瀬ちゃん。」 そんな中、秘書課の先輩が声をかけてくる。 普段はほとんど話しかけてはこない、仕事上の付き合いしかしない先輩なので、嫌な予感がする。 理由なんてない、ただの直感。 「営業課の速水課長の専属するって本当?」 「ぇ。」 思わずつまってしまった。 なぜ……。 数十分前に決まって知ったことなのに…なんでこうも早くみんな知っている? ここに戻るまで誰にも会ってないし、話してもないのに。 もう通達が…? いや、登録手続とか色々あるからまだのはず。 適当に言ってるわけでもなさそう。 その目には…好奇心と憐れみと……微かな嫉妬。 まさかここまで噂になるのが早いとは思わなかったな。 「えっと、どういうことです?」 「えー、噂になってるよ?私もさっき聞いたよ?」 きっと誰にと聞いても答えてくれなさそう。 でも答えなかったら解放されなさそう。 はぁ。 「確かにそういう話がきてますが、まだ正式には決まってません。」 こう言うのが無難かな。 マニュアル通りの答えをしてみても先輩は微妙な顔しかしてない。
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