1.専属秘書

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「でも、断ったわけではないよね?なんて返事をしたの?」 逆に聞きたい。 それを聞いてどうするの。 めんどくさい。 次長や速水さんから正式に通達があるまで広めてはいけないと言われているから……この時間は無駄でしかない。 早く速水課長から届くであろうメールのチェックと残りを終わらせたいのに。 甘かった。 噂自体、尾ひれとかついて数日後に流れるのかと思ったけど。 まさかすぐに広まるとは。 どうしたものかな……。 まわりも気になるのか助けるよりも好奇心の方が勝ってる状態だし。 「こらこら、正式な通達も来てないのに本人に問い詰めるのはマナー違反だよ?」 「ぁ…。」 その時、聞き慣れた声が私に詰め寄る先輩を静止してくれた。 「ほらほら!みんなも気になるのは分かるけど、先ずは目の前の仕事!」 「すみません!すぐ戻ります!」 みんなにも声を上げてくれる。 そんな声に逆らう人なんていない。 いるはずもない。 「ほら、美桜ちゃんも仕事仕事!特にやることが多いでしょう?」 「はい。」 返事をしてから、小声でありがとうございますと口を動かせば。 それが伝わったらしく、ウィンクで返ってきた。 本城由美。 秘書課のエースといったら彼女だと思う。30歳で社長秘書、管理職にと昇進を求める声が多かったが専属であり続けたいが故に断った人物。 私によく話しかけてくれたり、ご飯に連れてってくれたり、気にかけてくれたりと可愛がってくれる。 そして私の目標だったり。 誰もが彼女に憧れているので彼女に逆らう人なんていないのだ。 後で改めてお礼を言おう。
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