1.専属秘書

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「おかえり……ってどうしたの?」 「うん?何?」 自分の席まで戻ってくるなり隣で仕事をしている巴に驚いた顔をされた。 「気付いてないの?あなた、すごく嬉しそうな顔をしているのに。」 「え。」 そんな顔に出てた? 自慢じゃないけど顔に出ること少ないのに。 参ったなぁ。 思ってた以上に嬉しかったとは。 「んー、ちょっとね。嬉しかったかも。」 「褒められたとか?」 「いや?最高に不機嫌な顔で早く帰れオーラを出されたよ。」 「え、それでなんで嬉しそうなわけ…。美桜って怒られるの好きな人だっけ?」 「それはないよ。」 そんなドMな変態じゃないし。 申し訳無いけど、巴にも教えてあげない。 2回目に入った時、私から受け取った書類が置いた位置からほんの少しだけズレていたから。 なんて、教えても理解できないと思う。 「内緒。」 きっとあの人は、私が出たあとすぐ目を通していたと思う。 私がすぐに戻ってきたからさり気なく、そして何事もないようや素振りをしていたけれど。 一瞬見えてしまった。 ほんの少しだけズレた位置と1ページだけ貼られた付箋。 それだけで見てくれていたことは分かる。
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