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カタカタとパソコンで、事務処理を済ましていく。
こんなにも音がハッキリ聞こえるのは、この部屋が管理職専用の部屋であることと時間のせい。
19時。
この時間に残ってる人なんて管理職と案件の関係上残業している人くらい。
そしてここは別室。
他の人は知らないけれど、ここに来る人なんて本当に限られてくる。
「はぁ…。」
ため息が出る。
いつもよりもこの時間に行う事務処理のスピードが少し落ちている。でも外出時や定時までの仕事のスピードは上がってるからトントンな時間。
原因は分かっている。
仮ではあるけれど…今日付で私の専属秘書となるあの子だ。
少し前から上に秘書をつけるように言われていた。
けれどその度に断っていたし、上も断り続けていたので諦めたと思ってた。
私の場合、秘書がいると仕事の効率が落ちる。
実際にサポートしてもらったことはあるけれども…事実自分で全てやったほうが良かったという結果になったくらい。
今回も話が来たときに即座に断っていたけれど…。
昨日の夕方、急遽宮島次長から今日の朝来るようにと呼び出されたからそれに応じただけだ。
秘書課の宮島次長は私が入社したときからお世話になっている人。
私は仕事に集中したいタイプだから、余計な話とか愛想を振りまいたりできない。
接待となると別だけども。
そんな私が周りに馴染めるわけがなく…当時から一人で行動することが多かった私に色々と気にかけてくれた。
一匹狼だの、孤高だの、感じが悪いだの…色々と言われている今でも偏見なく見てくれる。
まぁ一人のおかげで仕事のスキルを手に入れられたのだから後悔もしてないけど…それでも誰かが見てくれるのはありがたい。
宮島次長はそれだけでなく仕事もできる人だからなお尊敬しかない。
一度は断った話だったけれど、そんな宮島次長からどうしても一度会ってほしいと頼まれ…。
恩もあるし、次長が推している子に少し興味も出てきたので今に至るわけで。
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