268人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ
--------------
……とか意気込んでいたのはいいものの。
「まぁこればかりは美桜ちゃんが時間厳守してくれるなんて、これっぽっちも期待すらしてなかったけど。」
「うぅ…。」
「いい加減、お昼を疎かにする癖をどうにかしなさいな。」
「別にお昼だからとか、そういうわけじゃ…。」
「じゃあなんで同じ集中力で、会議や絶対に守らないといけない時間には、厳守してるわけ。」
それを言われたら何も言えない。
心の底では、お昼だからという気持ちはあるのだ。
そう、私は由美さんに声をかけてもらってようやく気づいてしまったのだ。
言われて時間を見れば、13時30分だった。
「仕事に忠実なのはいいけれども…私との約束は守ってほしいなぁ。」
「すみません、つい。」
幸いお店は混んでいるわけでもなく、すんなりと席につけた。
お昼にも時間に限りはあるから、すんなりといけて良かったと本当に思う。
そしてここのランチはとても美味しかった。
さっぱりした味わいで私好み。
今は、食後の珈琲を楽しんでいる。
「もう、美桜ちゃんの将来が心配だわ。」
「将来って…。今はそんなこと考えられませんねぇ。」
「こらこら!青春しなさいよ。」美桜ちゃんは可愛いから選び放題でしょ。」
可愛いってよく言われる。
それは学生時代からだったし、私もそれなりに身なりには気を使う。
だからといって自信があるわけじゃないし、可愛いと思うのは人それぞれ。
それに視線を感じることも多いし、なんとなく察してしまうことも多い。
「生憎相手がいませんし、上辺だけ見られても…。」
「じゃあどんな人がいいの?」
「私くらいかそれ以上に仕事熱心な人。その上で私が仕事に集中していても疎かにしたくないって思うほど私を夢中にさせてくれる人。」
いつか巴にも同じことを聞かれたことがある。
そのときに答えたこととほとんど同じことをいう。
その場しのぎではなく、そのとおりだから。
「ハードル高そうねぇ。」
「私、一度好きになると、とことんハマるタイプですけどね。」
「あー、そんな感じする。」
我ながらちょっと引くくらい一途なのは自覚している。
「でも今はしばらくないでしょう。アプローチとかないし、自分から関わりたいって思う人も…。速水さんに認められることしか考えられないから。」
「へぇ。珍しいね、美桜ちゃんがそこまで言うなんて。」
「まぁ自己欲求が高いので。」
少しでも仕事を認めてもらいたいから。
それまではちょっと無理だ。
最初のコメントを投稿しよう!