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18時5分。
ふとパソコンに表示されている時間が視界に入り、つい溜息が出る。
いつもよりも作業が遅れている。
これくらいの報告のまとめ、いつもならもう終わっているのに。
理由はもちろん分かりきっている。
「ちょっと…言い過ぎたかしら…。」
出来上がった資料を目に通しては、付箋をつけて私の思ったことをそのまま伝えた。
その時のあの子の顔が……忘れられない。
悔しさを堪えて涙を流すまいとしていた。
今まで見たことがなかったから…思っていた以上にくるものがある。
だからといって仕事に妥協を許すなんて、私はそんなことできない。
それでも言い方がもっとあったのではないか。
やんわりと伝える方法があったのでは…。
直接はっきり言ったほうが分かりやすいと思ったのだけど…。
そのことばかり頭の中でぐるぐるまわる。
「はぁ…。」
暇さえあれば溜息しか出ない。
その時。
コンコンコンとノックの音が聞こえて。
「失礼します。」
先程までずっと考えていたあの子、市瀬さんが入ってきた。
なんで、どうして。いや待って…落ち着くのよ。
いきなりのことでパニックになる頭をなんとかしてフル回転させる。
「こんな時間に何?」
ちがう、もっと優しく言いたいのに。
無理矢理フル回転させているので、ついキツイ言い方になってしまう。
でも今はそんなことを気にする余裕なんて正直ない!!!
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