0.とあるお昼での会話

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「私はいつも通りよ。でもまぁ案外美桜は社内恋愛が合うかも。」 「だから仕事で…。」 「それこそ理解してくれるでしょ。同じくらい仕事人間だったらなおさら。」 私くらい仕事に夢中の人…。 そんな人、いるのかな。ってかそれこそ既婚者だったりするでしょ。 「無理だよ。それこそ自然消滅パターン。」 「あんたね…何かないの?こういう人ならっていうタイプ。」 「別に独り身でも……。」 それ以上言えなかった。 巴の無言の圧力で、黙るしかない。 いや、これは逆に答えるまで仕事に戻らせてくれなさそう。 とはいえ、タイプかぁ。 それこそ……。 「私くらいかそれ以上に仕事熱心な人。その上で私が仕事に集中していても疎かにしたくないって思わせてくれて、溺愛してくれる人。」   「待って。そんな超人いるの?」 「そんな人じゃないと続かないし、私もどうでもよくなる。それにさ、向こうも仕事ばかりじゃなくて同じくらい私を見てほしいもの。恋するなら徹底的に。」 「結構重いのがいいのね…。」 「フランクな関係なら友達でいいもの。むしろそれくらいじゃないと嫌。そういう人だったらきっとどんな人でも私は好きになるよ。」 「どんな人でも?……不倫とか?」 なんでそこでそれが出てくるのか分からないけれど。 「不倫は論外。」 「学生とか?」 「それはアウト。最低社会人から。」 「じゃあ………同性でも?」 即答できなくて詰まってしまった。 偏見とかそんなんじゃない。むしろ同性と付き合ってる男友達がいるくらいだし。 ただ、考えたことがなかった。 恋愛というのは普通男女が当たり前で。同性カップルも周りにはいるくらいで所詮は他人事。 だから自分を無意識に論外としていた。 ふと思う。 仮にもその条件に当てはまるのが女性だったならば、と。 そして思い知る。 「好きになるよ、きっと。」 そんな人がもし女性でも私はきっとベタ惚れすると確信した。 「言い切るんだ。でもなんかいいね。そういう思い切りの良さと堂々とした姿勢、美桜らしい。」 巴も納得したように微笑んだ。
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