3.速水さん

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でもまぁ、そんなことよりも…。 『通達通り、本当に秘書なんだ。』 『とうとう課長は、市瀬さんまで潰すのかな。』 『やっぱり市瀬さん、可愛い…。』 今日も今日で視線が痛いほど刺さる。 正式に任命されたのとほぼ同じタイミングで、全社員が確認できるような掲示場に通達されたのだ。 大事なことがあれば、その掲示場に載せられるのでこの通達を見ていない人はおそらくほとんどいないだろうな。 秘書課の先輩からは色々と質問されたけど、こうして他の方々から何も聞かれないのは、隣りにいる速水さん効果かもしれない。 秘書課フロア以外はほとんど速水さんと行動してるわけだし。 「いたいたー!美桜!」 「巴?」 ふと前から巴が歩いてくる。 確か今日外出していたのでは? 「速水課長、お疲れさまです。」 「あなたは確か経理の…。」 「はい、淡島課長の秘書の空木巴です。」 「巴は私の同期でもあります。」 「そう、あなたが…。お疲れさま。」 みんな遠くから見てるだけなのに、声をかけてくれる巴はやっぱり大物。 堂々としていて…さすが私の同期で友達。 「それで、どうしたの?」 「もう…お昼の時間だよ?」 「あぁ、もうそんな時間。」 お昼のこと、すっかり忘れてた。 午後の仕事のことばかり考えていたから。 「市瀬さん、朝は一段落ついてるしお昼に行ってきても問題ないわ。」 「分かりました。」 ……もしここで。 お昼に速水さんを誘ったら迷惑かな? 巴なら問題ないと思うけど、お昼も一人がいいのかな。 「もしかして速水課長も一段落ついてたりします?」 「一応は。」 「だったらせっかくですし、ご一緒しません?」 巴!? 今まで面識はなかったのにいきなり過ぎない!? ほら、速水さんも驚くどころか…あれ、不機嫌になってるのはどうして。
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