3.速水さん

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「もう、だから私の腕の中が空いてるって言ってるじゃない。」 「由美さんを選んだら大変なのは目に見えてますので。」 「えー。美桜ちゃんが相手なら、喜んで愛してあげるのにぃ。」   「……骨の髄までしゃぶられそう。」 巴の言うとおりだ。 由美さんが相手なら、それこそ底なし沼だと思う。 きっとこの人も分かってて言っているだろうなぁ。 「あれ、速水さん?どうしました?」 さっきから無言でスマホをいじってる速水さんに声をかける。 「市瀬さんは気にしなくていいわ。」 「えっと…。」 なんというか迫力がある。 覇気といえば聞こえがいいけれども…これは多分少し怒りが込められているような気がする。 「せ、芹佳?」 それを由美さんも感じたのか、恐る恐る速水さんを呼ぶ。 「何でしょう?」 「怒ってるよね?」 「いいえ、これっぽっちも。」 「嘘だ。」 「怒ってはないです。」 「芹佳が無言でスマホを触るなんて…あり得ない!」 「あぁ、これ?ただ市瀬さんとセクハラ野郎の会話を録音して軽く編集して、上に叩きつけようかなと思ってるだけです。」 「やっぱ怒ってる!!!」 確かにスマホをいじってるところなんてあまり見ないから、なんだろうと思ってたけど…。 さすが速水さん、抜け目ないなぁ。
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