1.専属秘書

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その日は突然やってきた。 「私が…ですか?」 出勤してすぐに上司である宮島茂次長に呼び出されたので、何かミスでもやってしまったのかと思ったけれど。 呼び出された理由は、まさかの内容だった。 「あぁ。ご指名ではないが、とある人に専属をつけることが役員直々の案件でね。僕としても理由がない限り断れない上に相手が相手だ。半人前は勿論並のベテランでも無理な相手でね。そのため経験こそまだまだ浅いが、現状複数の案件を同時にクリアできる市瀬に任せたいと思っている。」 待ちに待った専属案件。 ずっとまたやりたいと思っていたから、この話は私にとっては素晴らしいものだ。 だけどなんだろう? 嬉しいけど、ぬか喜びしてはいけない気がする。 勿論専属は秘書の仕事の中でも最高に大変だ。 だからこそ新人は認められないとさせては貰えない。でも今回は並のベテランでも無理…とは。 「あの、並のベテランでも無理…とは。」 「あー、それは相手がなぁ。経験は確かに大事だが、ベテランだからといって仕事ができるわけではない。それは分かるな?」   「はい。でもなぜ若手ではある私に?」 「理由は2つだな。1つはお前のその圧倒的な集中力と複数のサポートを同時にできることだな。」 「……もう1つは?」 「それは自分で見つけてみろ。単純な理由とだけ言っておく。」 なるほど。 まぁそれもそっか。 そういったことは現場で見つけていくしかない。 「分かりました。その仕事、引き受けたいのですが…今抱えてる案件を同時に最後まで自分で終わらせてもいいですか?どれももう終わるので…投げ出したくありません。」 実際に今抱えてる案件はほとんど終わっており、いつもならこのタイミングで色々とまた頼まれる。 多分数日もあれば片付くだろう。
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