その星は私の願いを叶えない

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「流れたっ!!流れた、まな!!!!」 「Aボタンお願い」  慌てるゆきに、冷静に応える。別に呆れてる訳じゃなく、焼きうどん製作がフライパンの部に突入して余裕がぜんぜん無いせいだ。  ゆきが目を血走らせて操作してるのは、私のゲーム機だ。  ゆきは、この手のゲームはやらない。だから私もゆきと居る時はやらないことにしてるんだけど、今日はたまたまイベントの日で。ご飯を作るまでの間だけ、やるつもりだった。 「まな、なに取ってるの? 」  さっき帰ってきたゆきは、着替えながら聞いて来た。 「んーと」 「魚? 虫? 変な動物?」  私がたまにやるのを覗いたことはあるから、なんとなくは分かってるっぽい……でも、変な動物って、誰のこと。 「うーうん。今日は、星」 「ほしっ!」  ざっくり返事してセーブして終わろうとしたのに、ゆきの目が星並みに輝いた。 「星!星も、何かするの?! 星って、何星? 」 「何星って」 「あ!新月? それか、木星と土星?」 「新月? ……もくせい?」 「昨日が新月だったし、今、木星と土星が近いんだよね!」  いそいそと近付いて来て、私の背中越しに覗き込む。 「 おお……ちゃんと月が細い……! 賢いゲームだねー!」  さすがまなのゲーム! とか言ってるけど、多分誰の月もみんなこうなってると思うよ。 「そういう何星とかじゃなくて、流れ星。ほら」 「うわ!」  ゲームの画面で空を見上げてみせると、タイミングよく星が流れた。Aボタンを押してお願いポーズを取らせると、星がきらきら輝いて消えていく。 「すごい! これ、なに流星群?」 「え」  なにって。  流れ星は、流れ星だよ。 「時期的にはみずがめ座δ南流星群? ……にしては、全天流れまくってない?」 「……そういうのじゃなくて」  ゆきは、分かってない。これ、そういう本格的なのじゃないから。  これは、ゲームだから、ゲーム。 「あのねー?」  言っても分かってくれない気がするので、ゆきの気をそらすことにした。
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