第一章・―おもいで―

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 俺はどうしても、物が捨てられない。  思い出、って考えちゃうと、どう頑張っても持っていたくなって、どんなに周囲から注意されたとしても、どうしてもずっと持っていたくなっちゃう訳だ。  まぁ、マジでゴミとかは、さすがに捨てるよ。  でもさ。学生の時に使ってたノートとか筆記用具とか、カバンとか色々。  世間一般的に見て、“お母さん”が後々まで大事に保管して、子供が成人とかしたらしみじみと見たり、親戚とかに公開したりするような代物まで、全部捨てられないんだよなぁ。  だからかさばって部屋にスペースがなくなってきたりするから、ちょっと不便でもあるんだな。  だけど、それは物を捨てる理由にもならない。そんな気にもならないし、まして、そう出来るなら初めから目茶苦茶捨ててる。  昨日、また物を捨てられなかった。  今度のは、さすがにかさばる。  だけど、捨てるなんて事は、絶対にしない。むしろ長期保存が可能なように、色々準備しなくちゃならない。  生物。って訳でもないけど、ちゃんとしなくて保たなかったら、折角保管しようとしたのに、悲しくなるだろ。  だから、近くのホームセンターに寄って、色々と必要な道具を揃えてくる。  最近のホームセンターは凄いな。望めば何だって手に入るんだからな。  よし。揃ったから早速家に帰って作業開始だ。  まず、何から始めるかな。  取り敢えず中身を取り出して、買ってきた密閉式で匂いも漏れ難いポリ袋に細かく詰めていく。  これは日をおいて、ゴミとして出そう。  次に開けたところを丁寧に、見た目分からないくらいに縫合して、次は防腐処理だな。  これは、風呂場でやるか。
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