第一章・―おもいで―

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 風呂場でやっても、結構臭うな。まぁ仕方ないか、防腐剤だし、モノがモノだし、色々難点もあるよな。  ……てか、どれくらい浸けときゃ良いんだ?  後、五分くらいかな?  まぁそこも適当っつか、長年の勘で。こういう処理は、マニュアルに従うより、経験上で動いた方が失敗も少ないんだよねぇ。  あ、スマホやってる内に五分過ぎた。  さ、浸してたのを上げて、丁寧に処理したら、次は装飾。  ……いや、先にポージング、かな。  こういうのを後回しにして、どうにも動かなくなった物があって、それでも工具を使って無理矢理動かしたら、根本から大事な部品が折れちゃった事があるんだよなぁ。  あの時は泣いた。  めっちゃ泣いた。  だけど思い出を捨てる気はないから、折れちゃった状態のまま、特製の棚に飾ってるけども。  それも定期的に手入れはしているけど、いくら薬とか使ったって、やっぱり劣化はしてくるし、中身が黒ずんでくるしで、もう最悪なんだわ。  あれ、ろくな思い出がない。  まぁそれも人生の内って事でね。  よし。綺麗に出来た。  こないだ似合うと思って買ってきた服、めっちゃサイズぴったりなんだけど。  まるで物のために(あつら)えたみたい。  センス抜群だわ。  で、次はアクセサリーな。  ……何が良いかなぁ? 服装に合わせるなら、やっぱりカラフルなやつか?  よし。イヤリング、ネックレス、指輪はこんなもんだろ。  後は、化粧。  こればっかりは苦手なんだよなぁ。他人のためにする化粧程、やりにくいものはない。
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