恋に食まれて

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 雨が蒸発する音。  光が、大きくなって、思わず目をつぶる。大きな音と、さっきとは比べ物にならない振動にしりもちをつく。焼け焦げるようなにおい。  また、怪獣の方がだんだん明るくなる。何が起こってるのか把握もできず、腰が抜けたみたいに動かない。りくは全然動けなくて、ただ壊れた壁から運動場での攻防を見る。 「いいぐあああん」  ぺたんと座っていたら、何かの鳴き声のような、咆哮のような音がして、大きな柱みたいなものが二本、右の方から入ってきた。逃げようにも足が立たない。守らなきゃと思う対象がないと、こんなにも動けないものなのか。震える体は役に立たず、暴れることすらできずに柱に挟まれてりくは空中に吊り出される。 「なに、なに……!?」  左右を見渡す。怪獣の口もとに光の玉がある。まぶしい。見上げれば、暗い雲の中に大きな瞳が見えた。瞳? 顔? 「いいいいぅうううぅじゃあああ」  何かを言っているみたいだけれど、大きすぎて聞こえない。耳がびりびりする。雨が強い。怪獣が、光をたくさんため込んで、光が大きく、まぶしくなる。
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