恋に食まれて

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 降る雨、びしょぬれのセーラー服と壊れた校舎のがれきの破片。  怪獣の死体が横たわる中学校の校庭から、ようやく帰宅できた頃にはもう晩ご飯の時間をずいぶん過ぎていた。  夕方から降り続いている雨は、土砂降りのままやむ気配はない。  冷たいドアノブに触れる。りくは、まだ今日の出来事を受け止めきれないまま、ふうと息を吐いて玄関扉を開いた。 「りく、だいじょうぶか!」 「平気だよ、ラインしたじゃん」  音を聞きつけて、部屋から玄関に走ってきて、パパはりくを抱きしめた。勢いが良くてちょっとふらつく。 「学校、壊れたって」 「うん、明日やすみでラッキー」  りくはピースする。だいじょうぶ、いつも通りに笑えてる。 「なんだ、そんな感じなら、大丈夫だな」  パパは、ほっとしたように笑う。だませてる。パパも、自分も。りくは努めて、普通通りに振る舞う。自分自身を落ち着かせるために。  心臓のどきどき。お腹と胸のきゅんきゅんする感じ。 「パパも大変だったんでしょ」 「会社は遠いから平気だよ、本当に突然、怪獣なんて映画みたいな……学校の裏山から出てきたって本当か?」
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