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PCを操作し仕事をしていると、母親が言った。 「こんなところで仕事なんて、バチが当たるわ」 由美子もそう思う。だけど、他の部屋ではファイルのダウンロードに異様に時間がかかり、仕事にならないのだ。仕事をする前に由美子は必ず仏壇のお水とお茶を替え、線香をあげ、手を合わせる。欄間に飾られた、祖父と祖母の遺影にも手を合わせる。御先祖様、こんなところで仕事なんて、ごめんなさいね。 それにしても、眠い。由美子は目を閉じると瞬く間に深い眠りに落ちた。 ――由美子は山道を歩いていた。緑濃い樹々が由美子の頭上に広がり、その上で、鳥が鳴いていた。心地よい風が由美子の全身を撫でた。ああ、気持ちいい。最近仕事ばかりで、こんな自然にふれたのは何年ぶりだろう。と、その時、由美子の足元から小さく、次第に大きく地鳴りが伝わってきた。
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