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朝、告白――
朝、起きるのが楽しくなった。
ああ、また一日が始まる。今日はどんな一日になるんだろう? それを考えるだけで、目覚ましのけたたましいアラーム音すら、まるで大好きな映画の上映を知らせるブザーのように聞こえてくるんだから不思議だ。
空の高さに、私は笑う。
鳥のさえずりに、私は昂ぶる。
街路樹のざわめきに、私は踊る。
信号機の明滅は、カウントダウン。
風の匂いに、世界は染まる。
雨音のワルツにステップを刻み、落ちる雲の影に誘われるように、私の影もくるくる舞う。
今、この瞬間、時間を止めてしまいたい気もする。短針、長針、それから秒針を一纏めに束ねて、あとはおもむろに髪留めのゴムでギュって。
でも、そんなことはできないし、仮にできたとしても、それじゃ今のような高揚感は、きっと味わえない。
なんだか何を言っているんだか自分でも分からなくなってきた。
これはきっとそう――浮かれているんだ。そのことを恥ずかしいとも思うけど、その恥ずかしい自分すら楽しめてしまっている私がいる。それこそ、今なら思い切り助走をつけて踏み切れば、瞬きの間くらいなら文字通り浮かべそうとすら思えてくる。
びっくりするくらい体が軽いし、見るもの、聞くもの全てが刺激的で、キラキラとまばゆいばかりにきらめいている。
多すぎる情報量に、頭の中はまさに混乱、どころか混沌一歩手前。
ボウルに入れた卵白をがーってかき混ぜて、メレンゲみたいにふわふわ膨らんで――要は飽和状態、完全なるキャパシティオーバー。
シグナル、レッドです。
いや、違う違う……そうじゃなくて。
もうだめ、ギブアップ。
なんだかもう意味が分からない上に支離滅裂。
結局のところ、私は何が言いたかったんだろう? もう今となってはそれすらも分からない。自分でも分からないんだから、当然他の誰かが分かる訳無いのだけれども、それでも浮かんでしまう疑問符には、自然私の首もコテンと傾いてしまう。
本当はちゃんと伝えたいことがあったはずなのだけれども、現在進行形で混迷を極める脳みそに、私の処理能力はちっとも追いつかないし、追いついたところで、今度は出力用の語彙不足ときている。
だから、全てを伝えることはできないし、そしてまた、そんな簡単に伝えられてしまうほど、私のこれは軽くない。
ただ、一つだけ言えることがある。
たった一つ、そう、確実に。
自信を持って、せっかくだから、大きな声で。
私は今、恋をしている。世界中の誰よりも。
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