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直接亡骸に触れたわけではないが、キッチンペーパー越しであっても、ヤツを手に持った感触が手に残る感じがして、俺は何回もハンドソープを手に取り、手を洗う。
手を洗いながら、実家にいた時、親父やおふくろはヤツが現れても、声を上げることもなく素早く対応していたことを思い出し、今さらながらにその凄さを感じた。
その時、洗面台のそばに、使用途中の歯ブラシが転がっているのを見つける。
そういえば、歯磨きの途中でヤツを見つけたんだっけか、
そのことを思い返しながら俺は歯ブラシを拾う。そして歯ブラシを洗い、もう一度歯磨き粉をつけ、時短で歯を磨き直す。そして歯磨きを終え、鏡を見てもう一度身だしなみを整えた。
いろいろあったが、すべて片付いた。あとはカホを部屋に迎えて、楽しい時間を過ごすだけだ。
と、ここで、ヤツの亡骸が入ったレジ袋を思い出す。
この部屋の中に亡骸であっても、ヤツの存在があるのは嫌だった。それに、ヤツを仕留めるのに使った応援用のメガホンも、ヤツを叩いた時に触れてしまったから、惜しいが処分してしまおうと考えた。
下の階にゴミ捨て場があるから、ゴミ袋にヤツの亡骸が入ったレジ袋とメガホンをまとめて捨てに行こう。
幸い、カホはまだ来ていないから、今下に降りていけば、ちょうどカホに会えるかもしれない、そう思って俺は、ヤツの亡骸の入ったレジ袋とメガホンをゴミ袋にまとめ、そしてそれを持って部屋を出た。
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