2 招かれざる客  12:40

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 そんな風になりながらも、なんとか、俺はこれからどうしたらいいのかを考え始めた。  目まぐるしく渦巻く思考の中で、一つのことを思い出す。 そうだ、もうすぐカホが来る。  駅に着いたとカホから連絡があったのは、12時40分だった。それに返信し、皿洗いを始め、終えるまでに3分はかかった。そこから部屋の確認をし、洗面所に来て歯磨きをし始めたところで、浴室に違和感に気付き、見回ったところでヤツと遭遇、この状況になるまで、5分は経ったはずだ。ということは、今は12:50分前ぐらいのはずだが、なんにせよ、すぐそこまでカホが来ているのは間違いない。  このまま状況を放っておけば、もしかしたら何事もなく終わるか?いや、それは希望的観測すぎる。ならばカホに事情を説明するか?しかしなんて言えばいい?それにどう説明しても、ヤツの存在がこの部屋にあるという事実だけで、俺の普段の状況や様子にネガティブな印象をもたらし、二人の今後を左右することにもなるかもしれない。  考えている間にも、時間はどんどん進んで行く。カホがこの部屋を訪れることを考えた時に、一番の理想は、この部屋にヤツの存在があったことをカホに知られないこと、そしてそれを実現させるための最大の手段として考えられるのは―、  ヤツを、排除するほかない。
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