第一縁 おいしい焼き鳥の食べ方

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 七輪の上に鶏肉が置かれる。  シュウシュウと音を立てるお肉を、二人でわくわくと眺める。  ふ、と思い出して、わたしは彼に尋ねてみた。 「キミ、ここら辺は初めてなの?」  聞こえるように言ったはずだが、彼は目を輝かせて七輪を眺め続けていた。全く聞いていない模様。  だんだんと肉に火が通りはじめた。  板さんがひっくり返して、塩をぱらりと振る。  興奮している彼の隣で我に返る。  ……ここまでなんとなくご一緒してしまったけれども、この青年は大丈夫なのだろうか?というかそもそも、なんでコイツはこんなに親しげにしているんだ?(まあそれを受け容れているわたしもわたしだが)そして一軒目はあんなだったからわたしが会計したが、  この子、お財布持ってるのか???  わたしの疑問などどこ吹く風で、鶏肉は焼き上がった。 「はい、ささみ大葉のせ。これ、梅肉ね、お好みでどうぞ」  そう言って平皿に二串のせた板さんは、わたしたちの間にそれを置くと、振り返って次の仕込みを始めた。    
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