12人が本棚に入れています
本棚に追加
二人して串のまま、あぐりと肉を頬張る。
先ほどのやさしい酢の物の酸味から、大葉の上品な爽やかさが広がる。
ゆっくりと噛んでその香りを楽しむ。
飲み込むと、二人揃って鼻から深呼吸をした。
ほぅ
と、吐息を漏らす。
「美味しいね!」
わたしは、憑物が落ちたように自然に笑顔になって、彼に向かってそう言った。
自分の笑顔に気付いたのは、彼がぽっと驚いた表情になったからだ。
一拍置いて、彼も満面の笑みで
「うん!」
と返事した。(え、なに、めっちゃかわいいじゃん)
カウンターの向こうではお店の二人が怪しげにふふふ、と微笑んでいた。
最初のコメントを投稿しよう!