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ねぎまを七輪に乗せて、板さんはトントントン、と軽快に何かを刻みだした。
「はい、次が焼けるまで」
出されたのは山芋の千切り。削り節と海苔がかけられていて、ワサビが添えられていた。サクサクと歯切れの良い音が響く横で焼き鳥がじゅうじゅうと煙を上げている。
わたしはさっき聞きそびれた質問をもう一度、彼にしてみた。
「キミ、この近所のヒト?」
すると彼はまた、聞こえなかった風に
「お酒、次なににする?」
と訊いてきた。たしかに二人ともグラスは空いていた。
(こいつ、わざとか……?)
と思わないでもなかったが、
みょこん、とユリさんが顔を出したので話を切り上げた。
「今、山芋で、次がねぎまでしょ〜、そんにゃらねえ」
と彼女に勧められるまま、おかわりを頼んだ。(ところで今、いくらなんだろう)
気になることがぽこぽこと湧いてきたけれども、次のお酒も抜群に美味しかった。
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