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まだおしぼりしか置かれていないカウンター席に取り残されたわたしたちは、店内を見渡しながら時間を潰した。
なんというか、ちぐはぐなのだ。
建物の外観は古風で、いかにも老舗の居酒屋といった風だったのだけれども、内装や置物が若々しいというか、雑多というか。
「あっ」
王子さまは何かに気付いて立ち上がった。向かう先を見るとドリンクのサーバーがあった。どうやらお茶や水はセルフサービスらしい。
小さなトレーに湯呑みを二つのせて、王子さまが戻ってきた。
「ありがとう」
王子さまはへへっと笑ってお茶をくれた。
ひと息つくと店員さんが戻ってきた。
「お待たせしました!こちらのお酒は」
「ふうん、ありがとうございます。そしたらそれを一合で」
「はーい!」
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