第二宴 おどれ!コマイちゃん

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 お通しにはひじきの煮物が出てきた。  王子さまはしげしげと器の中身を眺め、ひと息にかき込むと、無言でちびちびとお酒を呑みはじめた。 「何頼もっか?」  わたしがそう尋ねても、お酒を舐めながら、 「うーん」  と唸るだけで、品書きを見ようともしない。  ああ、これはもう、出る気満々だな、と気付いたわたしは、それ以上彼に何かを尋ねるのはやめた。 「すみませーん」  王子さまがもう何も注文しないのは構わない。がしかし、わたしは腹ぺこだ。揚げ出し豆腐くらいは食べてから次のお店を探したい。  二、三度呼んでようやく来た店員さんは少し調子が悪そうだった。 「ごめんなさい、ちょっとぼーっとしちゃって」 「大丈夫です、揚げ出し豆腐ありますか?」 「……ごめんなさい、今日ちょっと切らしてて……」  変な間があったあと、店員さんがまた口を開いた。 「実は最近、店長が辞めてしまっててんてこ舞いなんです。ごめんなさい、これ、ドリンクチケットです。よかったらまた食べに来てください」  そういうことならば致し方あるまい。  わたしは空腹を棚上げして会計を済ませた。
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