第二宴 おどれ!コマイちゃん

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 空きっ腹に半合ほど呑んでしまったので、そこそこ酔ってきた。  一方の王子さまは、お酒に満足したのか、楽しげだった。  もう新しいお店を探す気力はなかったので、商店街の端にあるあの居酒屋「桐生(きりゅう)」へ行くことにした。  暖簾をくぐり、扉を開くとすぐさま 「いらっしゃあい。お、赤二名さん!今日は顔もちょっぴり赤いですにゃ?」  と今宵も明るいユリさん。桐生さんは一瞬手を止めてちらりとこちらを見て、すぐにトントンと野菜を刻み始めた。 「暑かったでしょう?今日のお通しは冷奴でーす」  つるりとさっぱり絹ごし豆腐、とろりとしたタレにネギ・ショウガ、火照ったカラダを調度良い具合に冷やしてくれた。  ホッと息を吐くと隣で王子さまがにこにこしながら、 「揚げ出しの日じゃなかったね」  と耳打ちしてきた。(ちょっとくすぐったかった)  お通しの小皿を片付けながらユリさんが、 「飲み物はどうしますう?とりあえずレモンサワーとか、自家製のがありますよん」  と勧めてくれたのでそれに従った。  倉庫らしきスペースに姿を消したユリさんはすぐに、立派なガラス瓶に入ったレモン焼酎を持って戻ってきた。 「これはわたしのお手製レモンサワーなのだよ」  鼻高々に自分でハードルを上げたユリさんだったけれども、その期待を裏切らない美味しさだった。爽やかな酸味とほのかな甘味、喉越し弾ける強炭酸。全てのバランスがカラダに沁みわたる心地よさだった。
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