第一縁 おいしい焼き鳥の食べ方

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 カラカラと扉を開けると、 「いらっしゃぁい」  とまろやかな声がした。 「あら、姉弟でお夕飯かにゃ?」  猫みたいな口調のおねえさん、奥には杉玉のような豊かな髪を蓄えた板前さんがいる。 「赤の他人です」  まだ少し、前の店でのいざこざにもやもやを残していたわたしは、少しぶっきらぼうに答える。彼はなんだか恥ずかしそうにあわあわしていた。 「そうかいそうかい、じゃ、赤二名様、ごあんなぁい」  おねえさんはわたしのとげとげした態度なぞひらりと躱して、踊るように席へ案内してくれた。  コトリ、と静かにお通しの小鉢が置かれる。 「今日のお通しはアスパラの胡麻だれでーす」  輝かんばかりに青々としたアスパラに、ふんわりと豊かな胡麻の香りが食欲をくすぐった。  二人揃ってひと口いただく。  うっま  彼と目を合わせて驚く。  すかさずおねえさんは、してやったり、というような顔をして、 「ふふふ、うまかろ?」  と言って続けた。 「お二人さんとも、お酒は好きですかな?今日、いいのあるんですよお」 「キミ、お酒は呑むの?」 「はいっ」  彼はとびきりの笑顔でそう答えた。(くそう、かわいい) 「じゃあ、オススメのやつ、冷やで入れますねー」
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