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その後、ゆふこに奇妙な行動が現れた。通話やメールでいろいろ質問し、私の助言どおり行動すると言いながら、実際は何もしていない事実が次第にわかってきた。
「メールの質問はあなたが最善の行動するためだろう?なぜ学習しない?」
「・・・」
ゆふこから応答はない。
「答えられないのか?」
「もうすぐ医師が来るの。二人が帰ったら電話するね」
ゆふこは画像通話を切った。
同時にドアチャイムが鳴り、室内に二人の女の3D映像が現れた。
「今、ロックを解除するわ。警備システムが作動してるからそのつもりで」
ゆふこは、医師とエンジニア二人の眼球と指紋さらにDNA認証をチェックして、FutureCompanyの医療チームであることを確認し、ドアロックを解除した。
「車と接触して頭部を打って、マイクロチップに支障をきたしたのですね。事故直後の脳内スキャンで、欲望抑制と空間認識と経時変化認識の各プログラムにシステム異常が出ていました」とエンジニアの女。
「横断歩道をぼんやり歩いてたと言いましたが、マイクロチップが正常ならぼんやりすることはありません。事故以前からマイクロチップに異常が現れていた可能性があります。
新しいソフトウェアをインストールしましょう」と医師の女。
医師とエンジニアは、ソファーに座ったゆふこの背後に移動し、ゆふこの頭部にヘッドセットを装着した。
「現在のマイクロチップをフォーマットし、新しいソフトウェアをインストールします。一分で完了します。麻酔のパッチを張ります。新しいソフトウェアに交換するまでの一分間だけ、苛立ちに耐えるためです」
医師がゆふこの腕にコインほどの大きさの麻酔パッチを張った。すぐさま、それまでの苛立ちが消え、ゆふこの感情が穏やかになった。
「ではインストールします」
脳機能の障害は獲得形質ではない。先天的な形質だ。これら機能補助のため、近年、多くの人が神経細胞機能を有する神経細胞補助マイクロチップを使用している。しかし、プログラムが支障をきたすことが多いため、神経細胞補助マイクロチップを開発したFutureCompanyはメンテナンスチームを編制している。医療作業に支障をきたさないよう、チームメンバーの神経細胞補助マイクロチップは常に新しいソフトウェアがインストールされている。
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