星の降る丘

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「それにしても、残酷なほどに美しい光景だ……」  いつまでも降り続く無数の光の線を見つめ、いつしか私の両の眼からは自然と涙が溢れ出して冷たい頬を伝ってゆく。  だが、それはこの美しすぎる絶景に対する感動の涙でも、ましてやフランソワが喜んでくれたことへのうれし涙でもない。  これは、もう如何なる行いを以てしても取り返しのつかない、人類史上、最悪とも呼べる大罪を犯してしまったことに対する後悔と絶望から流れ出た涙なのである。  今、私達の上に降り注いでいる〝流星〟は、いわゆる隕石が大気圏突入時に燃えて光っている類のものではない……。  あれは……あの何百、何千と降り注いでいるものは、私が星の彼方より召喚した旧支配者(グレート・オールド・ワン)の一柱〝ハスター〟の眷属、宇宙空間でも生存可能な有翼生物〝バイアクヘー〟が飛来する姿なのである!
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