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そう……あの流星に見えるものはその一つ一つがすべて、ハスターがヒアデス星団の古代都市カルコサより送り込んだ地球外生命体なのである。
しかも、その目的は、古の騎士道物語に云われるような人間との交流のためではなく、その人間を駆逐し、この地球を旧支配者の手に取り戻すためなのである。
こんな……こんなはずではなかった……私はただ、フランソワにバイアクヘーを見せてやりたかっただけなのだ……。
しかし、それはあまりにも幼稚で、浅はかな考えだった……旧支配者の眷属を召喚して、何事もなくすむはずがなかったのだ……旧支配者に関わることなど…いや、それ以前に『ネクロノミコン』を読むことからしてすべきではなかったのである。
だが、いまさらもう遅い……今、私の目の前では、人類を滅ぼさんとするアルデバランよりの使者が、なおも止まずに降り注ぎ続けているのである。
「……ウォーレス? もしかして泣いてるの?」
星影の下、涙する私に気づき、怪訝な顔でフランソワが尋ねる。
「ああ。そうだよ……せっかくの誕生日だっていうのに、こんなことになってしまってすまない……フランソワ、君は僕が大罪人になっても愛してくれるかい?」
無数に飛来し続ける、世にも美しく、そして恐ろしきその光を見上げながら、何も知らずに小首を傾げるフランソワに、私は懺悔の思いを込めてそう尋ねるのだった。
(星の降る丘 了)
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