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あたしはすっかり
「おはよっ、みー」
「あっ、おはよー、たっちい」
校庭で軽く柔軟を始めていたあたしの後ろから、たっちぃが声をかけてきた。
ちょっと距離を取って覗き込むようにあたしの周りをゆっくり歩いた後、すとんと横に座った。
「・・・どしたの?」
あたしが聞くと、たっちぃは名探偵が考え込むようなしぐさをして、あたしのほうを見つめた後、ぼそっと言った。
「んんんーーー?みー、目ぇ腫れてない?」
どきっ・・・
「そっ、そぉ?別に、何にもなかったけど?」
「ふぅーーーーん、そぉー」
「きっ、気のせいじゃない?昨夜はあたし、ほんとよく眠れたし」
それは嘘じゃない。昨日、優依に公園で全部打ち明けてもらったから、あたしの気持ちはすっきり晴れ渡って、幸せをかみしめながらベッドに入った。
それに・・・
そのせいか、幸せな夢まで見ちゃったし・・・
うふふふ・・・
「寝すぎで腫れたのかぁ、そっかぁ、良かったねぇwww」
「うん・・・?」
なんだかたっちぃの反応がいまいちだけど、それ以上突っ込まれなかったから、まぁいいか。
あたしたちは軽く柔軟をこなしたあと、副部長の号令でジョグを始めた。
残暑の日差しが容赦なく校庭の部員たちに降り注ぐ。遠くで聞こえる電車の音とセミの声と、自分たちの足音を聞きながら、昨夜の夢を思い出していた・・・
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