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わたしの周りはにわかに
「おはよ・・・」
寝ぼけ眼でわたしは1Fのリビングに降りて行った。昨日、ちょっと帰りが遅かったのもあって、今朝はちょっと起きるのがつらい・・・でも。
ちゃんと美優の誤解がとけたみたいで良かったわ。あのまま会えてなかったら、美優、もっと落ち込んで、部活も出てこなかったかもしれなかったし。
顔を洗いに洗面所に行こうとしたら、お母さんに声をかけられた。
「ゆいちゃん、手紙来てるわよ。そこ置いとくわね」
「ふぁぁーい」
誰だろ・・・こんなタイミングで手紙を送ってくるような友達っていたかな?フツーはメッセよね?
あ、どこかの塾とかのDMかしらね。ここのところ色々来るし。
そんなことを考えながら顔を洗って、リビングに戻った。机の上には白い無地の封筒に、手書きで宛名が書かれていて、裏返したところには、読みにくい英語のロゴがスタンプされていた。
「・・・ARTE・・・LOOX?美容院かしら?」
ボソッとつぶやいて封を切って、中から手紙を取り出した。
2枚重ねの便せんを開くと、万年筆で書かれたような流ちょうな文字が書かれていた。
「!」
わたしはひととおり読むと、すぐに封筒に戻し、どかどかと部屋に戻って机の引き出しの奥にしまい込んだ。
「これは・・・まだ」
そうつぶやいて、着替えをして、朝ごはんを食べに階下に降りて行った。
いつもの美味しそうな朝食の匂いが、遠くに感じられた。
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