わたしの周りはにわかに

1/4
121人が本棚に入れています
本棚に追加
/232ページ

わたしの周りはにわかに

「おはよ・・・」 寝ぼけ眼でわたしは1Fのリビングに降りて行った。昨日、ちょっと帰りが遅かったのもあって、今朝はちょっと起きるのがつらい・・・でも。 ちゃんと美優の誤解がとけたみたいで良かったわ。あのまま会えてなかったら、美優、もっと落ち込んで、部活も出てこなかったかもしれなかったし。 顔を洗いに洗面所に行こうとしたら、お母さんに声をかけられた。 「ゆいちゃん、手紙来てるわよ。そこ置いとくわね」 「ふぁぁーい」 誰だろ・・・こんなタイミングで手紙を送ってくるような友達っていたかな?フツーはメッセよね? あ、どこかの塾とかのDMかしらね。ここのところ色々来るし。 そんなことを考えながら顔を洗って、リビングに戻った。机の上には白い無地の封筒に、手書きで宛名が書かれていて、裏返したところには、読みにくい英語のロゴがスタンプされていた。 「・・・ARTE・・・LOOX?美容院かしら?」 ボソッとつぶやいて封を切って、中から手紙を取り出した。 2枚重ねの便せんを開くと、万年筆で書かれたような流ちょうな文字が書かれていた。 「!」 わたしはひととおり読むと、すぐに封筒に戻し、どかどかと部屋に戻って机の引き出しの奥にしまい込んだ。 「これは・・・まだ」 そうつぶやいて、着替えをして、朝ごはんを食べに階下に降りて行った。 いつもの美味しそうな朝食の匂いが、遠くに感じられた。
/232ページ

最初のコメントを投稿しよう!