123人が本棚に入れています
本棚に追加
「おはよー、優依」
「あー優依さーん、おはようございますー」
「みどり、カンナ、おはよう」
ふたりに挨拶をしたあと、ぐるっと部室を眺めたら、倉庫の部屋のドアが開いていて、ごそごそしている後姿を見つけた。
とことこ歩いて倉庫の前に行って声をかけた。
「美優っ、おはよっ」
「うわぁっええっ・・・っと・・・ああ、ゆっ・・・優依、おはよう」
突然声をかけたのが悪かったのか、美優は思いっきりのけぞってびっくりしたあと、後ろの棚に手をかけて、まるで忍者が壁沿いに隠れるかのような姿勢になって、わたしに挨拶した。
「ぷっ・・・ぷふふっ・・・そっ、その姿勢っ・・・あははっ・・あはははは」
「えっ・・・いや・・・えっと・・・ははっ・・・あははは・・・・あはははは」
わたしが笑ったら、驚きながらも美優もつられて笑い始めた。
よかった・・・美優、ちゃんと笑えるようになってる。
昨日の、泣いたり、謝ったりしたのをまだ引きずっているんじゃないかって、ちょっと心配したけど大丈夫そうね。
ひとしきり笑って落ち着いた後、何気なく聞いてみた。
「はぁ、可笑し・・・美優、元気そうね」
「あははっ・・・はぁ・・・うん、あたしは元気だよ。優依も?」
「ええ、わたしも。昨日はよく眠れたのかしら?」
「えっ?・・・あっ・・ああ・・・うっ・・・うん・・・」
なんだか歯切れの悪い返事・・・目が泳いだわ。
「どしたの?」
「えっ?いや、別に・・・何も」
「どこか、具合わる・・・」
「あっ、大丈夫だよ大丈夫・・・そっ、それより、優依っ、着替えて来てよ。そしたら音響セットアップ手伝って?」
美優は苦笑いしながら、顔の前で手をぶんぶん振って、早口でまくし立てた後、くるっと振り向いて、音響の道具を出す準備を再開した。
「・・・わかったわ」
あ・・・耳が真っ赤・・・ふふっ・・・何か別の事考えてたのね?
とにかく私も手伝うために、壁際にもどってカバンを置いて、ジャージに着替えた。
最初のコメントを投稿しよう!