わたしの周りはにわかに

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「おはよー、優依」 「あー優依さーん、おはようございますー」 「みどり、カンナ、おはよう」 ふたりに挨拶をしたあと、ぐるっと部室を眺めたら、倉庫の部屋のドアが開いていて、ごそごそしている後姿を見つけた。 とことこ歩いて倉庫の前に行って声をかけた。 「美優っ、おはよっ」 「うわぁっええっ・・・っと・・・ああ、ゆっ・・・優依、おはよう」 突然声をかけたのが悪かったのか、美優は思いっきりのけぞってびっくりしたあと、後ろの棚に手をかけて、まるで忍者が壁沿いに隠れるかのような姿勢になって、わたしに挨拶した。 「ぷっ・・・ぷふふっ・・・そっ、その姿勢っ・・・あははっ・・あはははは」 「えっ・・・いや・・・えっと・・・ははっ・・・あははは・・・・あはははは」 わたしが笑ったら、驚きながらも美優もつられて笑い始めた。 よかった・・・美優、ちゃんと笑えるようになってる。 昨日の、泣いたり、謝ったりしたのをまだ引きずっているんじゃないかって、ちょっと心配したけど大丈夫そうね。 ひとしきり笑って落ち着いた後、何気なく聞いてみた。 「はぁ、可笑し・・・美優、元気そうね」 「あははっ・・・はぁ・・・うん、あたしは元気だよ。優依も?」 「ええ、わたしも。昨日はよく眠れたのかしら?」 「えっ?・・・あっ・・ああ・・・うっ・・・うん・・・」 なんだか歯切れの悪い返事・・・目が泳いだわ。 「どしたの?」 「えっ?いや、別に・・・何も」 「どこか、具合わる・・・」 「あっ、大丈夫だよ大丈夫・・・そっ、それより、優依っ、着替えて来てよ。そしたら音響セットアップ手伝って?」 美優は苦笑いしながら、顔の前で手をぶんぶん振って、早口でまくし立てた後、くるっと振り向いて、音響の道具を出す準備を再開した。 「・・・わかったわ」 あ・・・耳が真っ赤・・・ふふっ・・・何か別の事考えてたのね? とにかく私も手伝うために、壁際にもどってカバンを置いて、ジャージに着替えた。
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