123人が本棚に入れています
本棚に追加
「美優・・・おつか・・・え?・・・泣いてるの?」
「ゆ・・・優依・・・あっ、うん、ごめん・・・ちょっと感情移入しすぎちゃってたのかな・・・」
「みゆー、おつー・・・って・・・えっ?なんで泣いてる?」
「あ、みどり・・・ごめん、大丈夫、あたし・・・」
「ええー、ここってファントム、泣くシーンなんだっけ?」
「えっと、いや、違うんだけど・・・」
「美優、すごいねー、稽古でも全力なんだねぇ・・・」
「えっ・・・っと、うん、ありがと・・・」
美優がみどりに褒められて、泣いてたんだけどなんだか照れた感じになって、なんだか・・・キュンってしちゃったわ・・・可愛い・・・
って、みとれてちゃダメだわ。
「はい、美優。涙拭いて、帰る準備しましょ?」
「あ、う・・・うん」
はにかむようにわたしの出したハンカチを受け取るしぐさが・・・
うーん、可愛いわ。
まずいまずい・・・私がデレてどうするのよ・・・
でも、可愛いぃぃぃ。
ホントはぎゅーってして、キスのまねじゃなくて、ホントにキスしたいのよ!!
あー、もう・・・
もんもんとした気持ちを押さえつつ、着替えをしようとカバンのところに行ったら、スマホにメッセが入っていた。
開けてみると、カブ君だった。
【ちはっ!冠城です。土曜の予定が決まったから連絡ね】
【土曜の13:00にランチ予約入れたから、この後送る店に集合ってことで。俺の名前で予約してあるからな】
【じゃあ土曜日にね】
ささっと読んで、豆しばの“了解”ってスタンプ送って、スマホをしまった。
「ねぇー、優依も行くでしょ?プール」
後ろからみどりが声をかけてきた。
「え?プール?」
「そう。夏休み最後の土曜なんだからさぁ、みんなでどっか遊びに行きたいじゃんねぇ?そしたら、やっぱプールでしょ!」
「えっと、ごめん、土曜は用事があって、わたし、無理だわ」
「ええー、残念―・・・カンナが日曜ダメって言うから、土曜がいいなーって今話してたのにぃ」
「ごめんなさい・・・わたし抜きで行ってきてもらっていいのよ?」
「ええー!せっかく演劇部仲良し5人組ってしたのにさー、それじゃ悲しいじゃんねぇ。土曜の用事って動かせないのぉ?」
どきっ・・・ここでカブ君と会うってばれたら、さすがにまずいわよね。
なんとしてもバレないようにしないと・・・
「うーん、ちょっと相手のある話だし、こんな間際には無理かなぁ・・・」
ちらっと見ると、美優がちょっと不安げな顔してる・・・
あとでちゃんと言っておかないと・・・
「そっかぁ、しょうがないねぇ。じゃあ、あたしらだけでいこっか、カンナ」
「そうですねぇ・・・残念ですぅ」
「ああ、美優は行けるの?」
「あ・・・あたし?あたしは・・・うん、行けるよ」
チラッとわたしの顔をうかがったあと、美優はそんな返事をした。
美優、行くんだ・・・わたしはちょっと胸の奥がチクッとした。
最初のコメントを投稿しよう!