あたしは我慢が・・・

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「うん、あれだよね?子供向けのあの番組にいっしょに出てた」 「えっ?美優、見たの?」 「うん。ネットにあがってたの、見た」 「ううー、ちょっと恥ずかしいかも・・・」 優依が、かわいく両手をほほに当ててうつむいた・・・ 「えっ!そっ、そんなこと無かったよ!優依、すっごく可愛くって、あたし・・・あたし・・・」 そこまで言って、唐突に昨夜の夢を思い出して、恥ずかしくなった。 「・・・どしたの?・・・美優?」 「あっ、えっ・・・いやっ、別にっ・・・」 あわてて顔を振って、手で火照った顔をあおいだ。 「暑いの?」 「うっ、うん、ちょっと・・・あははは」 「そっ、それでね・・・美優、カブ君たちと会うっていうのはみどり達には内緒にしてほしいの」 「うん、それはもちろん」 「多分、いろいろ探ってきそうな気がするから、話を合わせて欲しいの」 「どういう話しにするの?」 「えっと、男の子達はいないってことで、女の子たちだけで会うっていうのでお願い」 「うん、まぁ、そうだよね・・・それが無難かな」 「小学校のときのっていうことでどう?」 「わかった」 「ごめんね」 優依は、両手を合わせて、首をかしげて、お願いポーズのようにして、画面に近づいてきた。 その顔が・・・もう可愛くって・・・ あたしはもうノックダウン状態になった。 「・・・うん」 そうしか言えなくなって、頬っぺたが熱くて・・・ それでもじっと見とれてしまっていたらしい・・・ 「どしたの?」 「えっ・・・いや・・・優依が・・・可愛くって・・・」 「!・・・もっ、もう・・・」 そういってはにかむ優依がさらに可愛くって・・・・ 「ねっ、ねぇ・・・あのさっ・・・どっ・・・土曜の夜・・・」 「?」 「・・・・うちに泊まりに来ない?」 「えっ?いっ・・・いいの?」 「うん・・・あ・・・あたしが・・・来て欲しいって思って」 見つめあった一瞬が、途方もなく長い時間に思えた。 「ええ、行くわ」 「うん」 嬉しくてちょっと涙が出てきた。 鼻をすすると、優依がちょっと微笑んだ。 「もぉ・・・美優ってば、涙もろいんだから・・・」 「えへへへ・・・」 なんだか泣き笑いになって、それでも心は期待に満ち溢れていた。
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